この記事でわかること
・冷却塔のスケールが発生する原因とメカニズム
・スケールを放置すると起きる設備トラブルとコストへの悪影響
・現場でできる水質管理と濃縮・ブローダウン(ブロー)のポイント
・スケール対策の選択肢としての水処理システム「エミール(emiiR)」
冷却塔(クーリングタワー)のスケールに悩まされながら、日々の運転をなんとか回している状況はありませんか。冷却水温がじわじわ上がり、電力使用量も増えているのに、原因がスケールなのか水質なのか判断しきれない、そんな場面は現場でよく起こります。
本記事では、冷却塔のスケールとは何かという基礎から、発生メカニズムと設備への影響、水質管理やブローダウン(ブロー)の見直しポイントまで順を追って整理します。さらに、スケール対策の選択肢として、水処理システム「emiiR(エミール)」の考え方も紹介します。
※効果や削減量は、水質・運用条件・設備構成により異なります。
冷却塔のスケールとは

冷却塔における「スケール」とは、水に溶け込んでいるカルシウムやマグネシウム等の成分が、運転中の濃縮によって結晶化し、配管や熱交換器、充填材などに固着する付着物のことです。
身近な例で言えば、電気ポットの底に白い固まりができる現象と同じ方向性ですが、冷却塔は蒸発を利用して冷却する構造のため、水中成分が濃縮されやすく、設備全体の性能や維持費に直結しやすい点が注意ポイントです。
スケールとスラッジ・スライムの違い
冷却塔では、スケール以外にも「スラッジ」「スライム(バイオフィルム)」といった汚れが発生します。原因が違うため、対策も変わります。
- スケール:水中成分(硬度成分など)が結晶化して固着したもの
- スラッジ:砂塵、土、腐食生成物(さび)などが沈降・堆積したもの
- スライム:藻類や細菌などの増殖でできる膜状の汚れ(バイオフィルム)
点検時は「硬い付着物か」「泥状か」「ぬめりがあるか」を観察し、原因に合わせて対策を整理することが近道です。
スケールが発生する原因とリスク
冷却塔のスケール対策は、やみくもに薬剤やブロー量を変えるよりも、まず「なぜ付くのか」を整理することが近道です。原因が見えてくると、濃縮管理で抑えるべき項目や、運用で優先すべき改善点がはっきりします。ここでは、冷却塔でスケールが起きやすい仕組みと、放置したときのリスクを押さえます。
原因の中心は「濃縮」、蒸発で水だけが減り、成分が残る
冷却塔は、水の蒸発(気化熱)で冷却します。このとき蒸発するのは主に水(H2O)で、水に溶けていた成分は系内に残ります。蒸発した水の分は、運転中補給され続けますので運転が続くほど水中成分は濃縮し、溶けきれない状態になると析出して結晶化し、スケールとして付着します。
補給水の硬度が高い(井水など)場合や、ブローダウン(ブロー)を抑えすぎて濃縮が進む運用では、スケールが発生しやすくなります。
スケールが冷却塔に与える影響
スケールは「見た目の汚れ」では終わりません。熱交換器や配管に付着すると、熱交換効率の低下、流量の低下、清掃・洗浄コストの増加など、運転コストと故障リスクを押し上げます。
熱交換効率の低下→電力コストの悪化につながる
熱交換器や配管に付着物が増えると、熱交換率が悪くなり、冷却能力の低下や消費電力の悪化につながります。結果として「設定温度に届きにくい」「チラー負荷が下がらない」「ピーク時に余裕がない」といった運転上の困りごとが発生します。
流量低下・閉塞→突発停止や臨時洗浄の原因に
付着が進むと、配管や熱交換器の流路が狭くなり、ポンプ負荷の増加や、最悪の場合は閉塞・設備停止につながります。臨時の薬剤洗浄や高圧洗浄が増えるほど、費用だけでなく停止リスクも高まります。
冷却塔のスケール対策で得られる効果
スケール対策は、設備保全だけでなく、電力・水・薬剤・清掃費といったトータルコストの見直しにも直結します。
●スケール対策で得られる効果
・電力使用量の増加を防ぐ
・清掃・洗浄の手間と費用を抑える
・水の使用量と薬剤のバランスを最適化する
電力使用量の増加を防ぐ
付着を抑え、熱交換効率の低下を防ぐことは、消費電力の悪化を抑える方向に働きます。
清掃・洗浄の手間と費用を抑える
スケールが付着すると薬剤洗浄や高圧洗浄などの手間と費用が増えます。付着を抑えることで、清掃の簡易化・洗浄周期の延伸が期待できます。
水の使用量(補給水/排水)と薬剤のバランスを最適化する
ブローダウン(ブロー)量は、濃縮を抑えるうえで重要です。一方で、排水が増えすぎると水道料金・排水処理費用が増えます。濃縮管理(運転条件の最適化)を行い、必要な水量・薬剤量を整理することが基本になります。
衛生管理(レジオネラ対策)も同時に考える
冷却塔は外部から汚染を受けやすく、増殖した菌が飛散しうる設備です。法令・指針に沿った点検・清掃・必要に応じた処理を、運用ルールとして組み込むことが重要です。
冷却塔のスケールを抑えるための水質管理のポイント
日々の運用の中でスケール対策を進めるためには、どのような点に注意して水質を管理すれば良いのでしょうか。ここでは、濃縮のコントロールや水質分析の進め方など、現場で押さえておきたいポイントを解説します。
ブローダウン(ブロー)で濃縮をコントロールする
濃縮を抑える基本は、古い水を排出し新しい水を補給するブローダウン(ブロー)です。一般に、濃縮状態の目安として電気伝導率(導電率)などを使い、運用ルール(管理値)を決めて監視します。
濃縮を上げすぎるとスケールリスクが上がり、下げすぎると水の無駄が増えます。現場の水質・設備仕様・季節変動を踏まえて「どこを狙うか」を定期的に見直すことがポイントです。
水質分析とトレンド管理をルール化する
月次など一定頻度で水質を確認し、数値を“点”でなく“トレンド”で見ると、濃縮の偏りや異常の兆候に気づきやすくなります。分析結果を保管して終わりにせず、運転条件・薬剤・ブロー設定の見直しにつなげます。
ここまでの管理を行っても、「薬剤もブローも詰めているのにスケールが付く」「水・排水コストがもう下がらない」という現場もあります。そこで次に、スケール対策の“別の選択肢”として、エミール(emiiR)の考え方を紹介します。
スケール対策の選択肢としてエミール(emiiR)を活用

水処理システム「emiiR(エミール)」は、セラミックスによる水のカチオン化により浸透力・洗浄力を高め、スケール付着防止や既存付着物の剥離、水の使用量削減などにつなげる“水処理の考え方”です。
エミールの仕組み
エミールは、ステンレス本体にモンモリロナイト系セラミックスを充填し、「水とセラミックスの間に生じる電気二重層の作用で水をカチオン化(プラスに帯電)させ、浸透力・洗浄力を向上」させる仕組みと説明されています。
また、下方向から上方向に通水してセラミックスを流動させ、セラミックスを綺麗な状態に保つことでメンテナンスフリーになる、という位置づけです。
さらに「(推定)」として、水素結合性の変化→付着物への浸透→脆化・軟化→水流で剥離、という説明が示されています。
クーリングタワー(冷却塔)で期待できるポイント
エミール(emiiR)を冷却塔に適用する場合、現場では「何がどう良くなるのか」「どの費用に効くのか」を先に整理しておくと検討がスムーズです。ここでは、冷却塔で期待できるポイントを5つに分けて紹介します。
Point 01:スケール付着防止/既存スケールの剥離
配管内や熱交換器へのスケール付着防止、すでに付着しているスケールの剥離にも効果がある、と説明されています。
Point 02:水の使用量(ブロー水)の削減
設置によりブローが必要なくなり、ブロー水を大幅に削減可能になり、水道料金・排水処理費用の削減や水資源の節約につながります。
Point 03:薬剤使用量の削減(スケール対策薬剤)
通常は濃縮でスケールが析出するため薬剤を使用するが、設置後は、濃縮を限界まで高めコロイド状の結晶のままスケールを成長させない管理方法になるので、濃縮倍率を上げるための薬剤は必要ありません。
※衛生管理(レジオネラ対策)は別枠で、法令・指針に沿った運用が前提です。
Point 04:清掃の簡易化/Point 05:電気使用量の増加を防ぐ
スケール付着による熱交換率の悪化・消費電力の悪化を防ぐ方向に働き、清掃・洗浄の手間や費用も抑えられる、と整理されています。
導入検討の目安(“向いている”ケース)
・薬注・ブローで管理しているが、付着と洗浄が繰り返されている
・水道料金・排水処理費用を下げたいが、ブローを下げるとスケールが不安
・薬剤(特にスケール対策薬剤)や洗浄の負担を減らしたい
・開放式/密閉式いずれも、循環配管の一部処理ができるスペースがある
冷却塔のスケール対策は「運転・水・設備」をセットで見直す
冷却塔のスケールは、設備トラブルの原因になるだけでなく、電力・水・薬剤・洗浄費の形で“毎月のコスト”に効いてきます。まずは、現状の付着状況(写真)、直近の水質データ、年間の電力・水・薬剤・洗浄費を並べて、どこに支出が寄っているかを可視化してみてください。
そのうえで、従来の薬注・ブロー最適化に加えて、“水処理システム(エミール)による管理方法”も、選択肢として比較検討すると整理しやすくなります。
現状把握から改善の方向性づくりまで、エミール・ジャパン株式会社では相談を受け付けています。
冷却塔の水質管理を見直すなら「エミール」





