冷却塔のランニングコストを見直す方法 スケール対策とブロー水削減

この記事でわかること

  • ランニングコストの費目と増えやすい要因
  • スケールとブロー水がコストに影響する流れ
  • 業務用水処理システム エミールの仕組みと導入イメージ

冷却塔(クーリングタワー)の維持管理において、「電気代や水道代が年々上がっている気がする」「メンテナンス費用がかさむ」といった悩みは少なくありません。
ランニングコストを適正化するためには、どの費目がなぜ増えているのか、その原因を構造的に理解することが第一歩です。
ここでは、冷却塔のランニングコストの内訳と増減のメカニズム、そして根本的な解決策としての水処理見直しについて解説します。

冷却塔(クーリングタワー)のランニングコストはなぜ高い?費用の内訳

冷却塔のランニングコストは、毎月発生するものと年単位で発生するものが混在しており、全体像が見えにくいのが特徴です。
まずは「月額費用」「年額費用」「更新周期」という3つの視点でコストを整理し、現状を把握しましょう
見直しにあたっては、電気・水道の明細、薬品購入履歴、点検・清掃の記録などを事前に手元に用意しておくとスムーズです。

電気代:スケール付着による熱交換率低下が要因

冷却塔ファン、循環ポンプ、そして冷凍機(チラー)などが電力消費の主な対象です。
これらの電気代が増加する大きな要因の一つは、熱交換器や充填材への「スケール付着」です。

スケールが付着すると熱交換効率が下がり、水が冷えにくくなります。その結果、設定温度まで下げるためにファンやポンプ、冷凍機が長時間、あるいは高負荷で運転することになり、無駄な電力を消費してしまいます。
冷却水の温度差が小さくなってきた、以前より運転時間が長くなった、電流値が上昇傾向にある、といった兆候が見られる場合は注意が必要です。

参考:環境省「密閉式冷却塔熱交換器のスケール除去 運用改善・部分更新」

水道代:蒸発分とブロー水(排水)のコスト

冷却塔では、冷却水の一部が蒸発することで熱を奪いますが、その減った分を「補給水」として追加する必要があります。
補給水の内訳は、蒸発して消える水、風で飛散する水、そして水質維持のために意図的に捨てる「ブロー水(排水)」の3つです。

水道代を見る際は、上水道料金だけでなく、排水量に応じた下水道料金や排水処理費用も合わせて考える必要があります。
特に、水質悪化を防ぐためにブロー水を増やしすぎると、補給水と排水の両方でコストが跳ね上がる構造になっており、補給水量と排水量を減らす(水の濃縮倍率を上げる)為に、薬品を利用するという管理が一般的になっています。

薬品費と水処理費:購入費だけでなく管理工数も費目

水処理薬剤の購入費に加え、薬注装置の点検、薬品の補充、定期的な水質測定と記録にかかる人件費(管理工数)もコストの一部です。
一般的に、スケールやスライムを防ぐために薬品濃度を高めようとすると、薬品使用量が増えます。一方で、薬品濃度を一定に保つためにブロー(排水)を行う必要があるため、薬品を大量投入してもその一部は排水として捨てられてしまうというジレンマがあります。

参考:東京都健康安全研究センター「冷却塔の維持管理について」
参考:厚生労働省「レジオネラ対策のページ」

点検/清掃/保守:停止ロスも含めて整理

定期的な点検や清掃にかかる外注費や人件費も大きな費目です。
点検対象は、熱交換器、充填剤、上部パン、散水部、下部パンなど多岐にわたります
清掃作業には、高圧洗浄や薬品洗浄、スライム除去、ストレーナ清掃などがあります。

ここで見落としがちなのが、清掃のために設備を止める「停止ロス」や、立ち会いにかかる工数、再立ち上げの手間といった間接的なコストです。頻繁な清掃が必要な状態は、これらの見えないコストも押し上げています。

部品交換・更新/処分:数年単位の費用として分けて管理

充填材、ノズル、ストレーナ、バルブ、Vベルトなどの消耗部品は、数年ごとの交換が必要です。
また、10年〜15年といった長期スパンでは、冷却塔自体の更新や、それに伴う撤去・搬出・据付工事、廃棄処分費用が発生します。
これらは毎月のランニングコストとは別に、更新周期に合わせた積立や予備費として管理しておくのがコツです。

開放式と密閉式によるコストの違い

冷却塔の形式によってもコストの傾向は異なります。

  • 開放式:使用する水の量により、一般的にコストがかかりやすいと考えられています。
  • 密閉式:使用する水の量は少ないですが、銅管などの熱交換器が高価であり、設備更新時の費用が嵩みやすくなります。
  • 共通事項:設置場所や配管スペース、既設設備との取り合いも、工事費やメンテナンス作業性(コスト)に影響します。

運転条件や水質で変動する項目

稼働時間の長さ、外気条件、負荷の大きさによってコストは変動します。また、もともとの補給水の水質(シリカ分が多いなど)によっても、スケールの付きやすさが変わり、対策費用に差が出ます。
補給水量、ブロー水量、清掃頻度、故障履歴などを記録し、自社の「基準値」を把握しておくことが重要です。

コスト高騰の真犯人は「スケール」と「ブロー水の増加」

多くの費目を見てきましたが、ランニングコストを押し上げる根本的な「真犯人」は、実は「スケール」と「ブロー水の増加」の2点に集約されます。
この2つは相互に連鎖し、悪循環を生み出すことで、電気代、水道代、薬品代、清掃費のすべてを底上げしてしまうからです。


コスト見直しの優先順位は、「①付着(スケール)を減らす」「②排水量(ブロー)を抑える」「③その結果として清掃・点検負担を減らす」という順番で考えるのが鉄則です。

薄いスケールでも電気代に影響しやすい理由

スケールの正体は、水中のカルシウムやシリカなどが結晶化したものです。
これらは非常に硬く、石のように熱を通しにくい性質を持っています。
わずか0.数ミリの薄いスケールが熱交換器に付着するだけで、熱伝導率は劇的に低下します

「最近なかなか水が冷えない」「設定温度になるまで時間がかかる」といった症状は、スケールによる熱交換率の低下が原因であることが多く、その分だけ冷凍機やファンが余計に動き、電気代を押し上げています。
また、ピーク時の消費電力が上がる事でデマンドコントロールの為に、生産設備を停止しないといけないといった事例も増えてきています。

薬品管理とブロー水のジレンマ

冷却水は蒸発によって濃縮していくため、放置するとすぐにスケール成分が飽和し、結晶化します。
これを防ぐために「ブロー(排水)」を行い、新しい水を入れて濃度を下げますが、ブローを増やせば増やすほど水道代(上下水道代)は跳ね上がります

また、薬品を使用している場合、ブローで水を捨てると薬品も一緒に捨ててしまうことになります。濃度を維持するために薬品を追加投入し、またブローで捨てる、という「穴の開いたバケツに水を注ぐ」ような状況になりやすく、薬品代と水道代の両方が高止まりする原因となります。

つまり、従来の方法では「スケールを防ごうとすると水道代と薬品代が上がり、コストを抑えようとしてブローを絞るとスケール付着で電気代が上がる」というジレンマから抜け出しにくいのです。
また、薬品を使用しても完全にスケールを防げるものではなく、スケールはどうしても発生していまいます

汚れ、スケール、スライムがコストに結びつく流れ

汚れ・ゴミ:配管の流量低下やストレーナの詰まりを引き起こし、ポンプ負荷を増大させます。

スケール:熱交換効率を低下させ、電力消費を増大させます。

スライム(藻・菌類):熱交換器に付着して効率を下げるほか、剥がれ落ちて配管を詰まらせ、清掃や除去作業の費用(人件費・外注費)を発生させます。

サビ:設備寿命を縮め、早期の部品交換や修繕費につながります。

風量不足が電気代と清掃費に結びつく

ファンの羽根への汚れ付着、Vベルトの劣化・緩み、吸込み口(ルーバー)の目詰まりなどは、風量不足を招きます。
風量が落ちれば冷却能力が下がるため、ファンを回す時間が長くなり、電気代の無駄につながります。
点検項目を固定化し、定期的な清掃計画を立てて目詰まりを防ぐことは、地味ですが確実なコスト削減策です。

循環水量低下がポンプ負荷と冷却不足に結びつく

ストレーナの詰まりや、配管内へのスケール付着による流路の狭小化は、循環水量の低下を招きます。
必要な水量が流れないと冷却不足に陥り、ポンプは水を流そうと過負荷状態で運転を続けることになります。
ポンプの差圧や電流値を監視し、詰まりの兆候を早期に発見して対処することで、無駄な電力消費と突発的なトラブルを防げます。

ここまで、冷却塔にかかるコストを説明してきました。見てわかる通り、冷却塔の管理には莫大なコストがかかります。しかしながら、冷却塔は管理しなければラインがストップする、製品品質が落ちるといった重大なリスクがあるため、管理は欠かせないのです。
このジレンマを解消する新しい選択肢として、これより「エミール」をご紹介します。

薬品使用量の低減と排水削減を狙う「エミール」の仕組み

業務用水処理システム「エミール」は、従来の「薬品で抑え込み、ブローで捨てる」という管理手法とは異なるアプローチで、スケール対策と排水削減を同時に実現するソリューションです。
水本来の性質に働きかけることで、スケールの付着を抑制し、結果としてブロー水を減らし、熱交換効率を維持します。

薬品使用量の低減

エミールは流体処理によってスケール付着を抑制するため、スケール防止剤や防食剤といった薬品への依存度を大幅に下げることができます
薬品を使わなくなれば、購入費はもちろん、在庫管理や補充作業の手間、薬注ポンプのメンテナンスといった管理コストも削減できます。

ブロー水の削減につながる考え方

薬品を使用する場合、薬品濃度を維持しつつ濃縮度を管理するために、一定量の強制ブロー(排水)が不可欠でした。
エミールの場合、薬品濃度管理のための排水という制約がなくなります

また、水改質によってスケールが付きにくい状態をつくるため、従来よりも高い濃縮倍率での運転が可能になります。
その結果、ブロー水量を大幅に絞ることができ、水道料金、下水道料金、排水処理費用という「水にかかるコスト」を直接的に削減できます。

流体処理による付着抑制の考え方

エミールは、ステンレス容器の中に特殊なセラミックス粒を充填した構造をしています。
この容器の下から上へと水を通すことで、セラミックスが流動し、水と接触します。この時生じる界面動電現象によって水の状態が変化し、配管や熱交換器へのスケール新たな付着を抑制します
また、既に付着している赤錆やスケールを、サビや剥離しやすい状態へと変化させ、徐々に除去する効果も期待できます(付着済みが剥がれやすくなる)。

電源不要で装置維持費が増えにくい構造

エミールは外部電源を一切使用しません。循環水の水流だけで稼働します
そのため、導入しても電気代が増えることはありません。

また、可動部がセラミックスの流動のみというシンプルな構造であるため、故障のリスクが極めて低く、定期的な部品交換やオーバーホールといったメンテナンス費用の積み立ても基本的に不要です。
「コスト削減のための装置で、新たな維持費が発生する」という本末転倒な事態を避けることができます。

開放式と密閉式の設置イメージ

  • 開放式冷却塔への設置:循環配管の戻り側(還り配管)にバイパスを設け、循環水の一部を通水させる形で設置します。
  • 密閉式冷却塔への設置:散水ポンプの吐出側に設置し、散水の一部を処理する形で設置します。

導入に際しては、配管スペースの確保、バイパス配管の設計、既設の計装機器との取り合いなどを事前に確認します。大掛かりな工事は不要で、既存設備を生かしたまま導入可能です。

運用上の注意点

エミールの効果によって、古い配管内に溜まっていた錆やスケールが剥がれ落ちてくることがあります。
これは配管内がきれいになっている証拠ですが、剥がれた異物がストレーナやノズルに詰まらないよう、導入初期はストレーナの点検・清掃頻度を上げるなどの対応が必要です(剥がれたものをしっかり捕集して系外に出す)。その為、設置時期は新設時か清掃後を推奨されています。

また、藻やレジオネラ菌については、エミールの効果とは別のメカニズムで発生するため、必要に応じて専用薬剤による管理を併用するなど、切り分けて対策を講じます。

導入後に得られるメリットは3つ

エミールを導入することで、具体的にどのようなコスト見直しが可能になるのか。
メリットは大きく3つのポイントに集約されます。

1. 薬品費と薬品管理の手間を減らせる

最も直接的なメリットです。毎月のランニングコストとして重くのしかかっていた薬品購入費を削減できます。
さらに、現場担当者の負担となっていた薬品の補充作業、在庫発注、空容器の廃棄、薬品を含む排水の水質管理といった「見えない管理コスト」も同時にスリム化できます。
環境ISOに取り組む企業や、化学物質の排出を減らしたい企業にとっても、薬品使用量の削減は大きなアピールポイントとなります。

2. 装置の維持費を増やしにくい

前述の通り、電源を使わないため、追加の電気代はゼロです。
日常点検も、水漏れがないか、異音がしないか、流量や差圧に極端な変化がないかといった目視確認レベルで済みます。
エミール自体には交換が必要な消耗部品もないため、導入後の装置維持費をほとんど考慮しなくて良いという点は、長期的なコスト管理において大きな安心材料です。

3. 清掃負担と清掃費の見直しにつながる

スケールの付着が抑制されれば、熱交換器の洗浄頻度を減らすことができます。
頻繁な運転停止や、高額な薬品洗浄の回数が減れば、外注費やメンテナンスにかかる人件費の削減につながります。
導入初期こそ剥離物の捕集が必要ですが、系内がきれいになってからは、日常的な管理負担が大幅に軽減されるケースが多く見られます。

冷却塔のコスト見直しはぜひエミール・ジャパンにご相談ください

冷却塔のランニングコスト削減は、設備の状況や水質によって最適なアプローチが異なります。
エミール・ジャパンでは、現状のコスト構造をヒアリングした上で、どれくらいの削減効果が見込めるか、導入シミュレーションを行っています。

相談の際は、以下の情報をご用意いただくとスムーズです。

  • 冷却塔の方式(開放式・密閉式)と型式
  • 1日の平均稼働時間
  • 補給水量とブロー水量のデータ(あれば)
  • 直近の電気代、水道代、薬品代のわかる明細
  • 過去の点検報告書や清掃記録

「どの費目が無駄なのかわからない」「スケールで困っているが、薬品は増やしたくない」
そうしたお悩みをお持ちの方は、まずは現状のコスト診断からご相談ください。

貴社の設備環境に合わせた、無理のないコスト削減プランをご提案します。

監修者

立石氏のイラスト

エミール・ジャパン(株) 九州支店

常務取締役 技術本部長 立石

冷却塔の運用は、効率と安全の両立が重要です。
現場の課題を踏まえ、一般的な管理とエミールでの管理の両方の視点で本記事を監修しました。
持続可能な運転を実現する一助となれば幸いです。