- 薬品費、その他も含めたクーリングタワーの運用コスト
- 薬品削減前に確認したい水質と運転記録
- 薬注や水処理方式を比較する際の判断軸
- エミール導入で解決できること
クーリングタワーの薬品費を下げたいとき、最も手を出しやすいのが薬注量を減らすことです。ただし、今入れている薬剤の役割を確かめずに量だけ絞ると、スケールの付着や金属の腐食、施設の衛生管理まで一緒に弱めてしまいます。「薬剤を減らすこと」と「コスト削減」は切り分けて考えることが大切です。
減らす前に、補給水・循環水の水質、薬注量、ブロー量、清掃回数、充てん材や熱交換器の付着状況を一定期間そろえて記録しましょう。この記録がないまま設定を変えると、薬品費が本当に下がったのか、別の費用に移っただけなのか判別できません。
薬品費だけでは見えないクーリングタワーのコスト
クーリングタワーでは循環水の一部が蒸発し、残った水の中で炭酸カルシウムやケイ酸マグネシウムなどの塩類が濃縮されます。濃縮した塩類は充てん材や熱交換器にスケールとして析出し、微生物が付きやすい下地にもなります。そのためかかる費用は薬剤の購入代だけで終わりません。薬注装置の点検、補給水、ブロー水の排水処理、充てん材や配管の洗浄、そして清掃で設備を止めている時間まで含めて、はじめて実際の運用コストになります。
同じ能力の設備でも、開放式か密閉式か、補給水の水質、運転時間、季節ごとの負荷が違えば、必要な管理も変わります。他社の削減事例をそのまま当てはめず、自社の設備で月ごとの薬品費と、年間の水使用量・作業時間を並べて比べてください。
クーリングタワーで薬品を使う主な目的
冷却水系の薬剤は、目的ごとに役割が分かれています。スケール防止剤は、水中の硬度成分が結晶化して配管や熱交換器へ固着するのを抑えます。防食剤は金属の腐食を抑える薬剤で、殺菌剤やスライムコントロール剤は微生物と生物膜を管理するためのものです。クーリングタワーは日射があり、酸素も供給され、大気に開放されているため、藻類も繁殖しやすい環境になります。
参考:厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル(仮)(案)」
ここで注意したいのは、濃縮管理の薬剤は減らせても、殺菌と清掃は減らせないという点です。厚生労働省の「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」では、冷却塔の使用開始時と使用期間中は月1回以上の汚れ点検、点検結果に応じた清掃・換水、さらに年1回以上の清掃と完全換水が求められています。微生物や藻類の繁殖を抑えるための殺菌剤等の使用も、同指針に含まれます。薬品コストを検討する前に、この指針を社内で共有しておくと「削減してよい薬剤」と「残すべき管理」が最初から区別できます。
参考:厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」
薬品費以外にかかる運用費
削減できた額を判断するには、次の費用も同じ期間でそろえて比較します。
- 薬剤の購入・保管費、薬注装置の点検費
- 補給水・ブロー水にかかる水道料金と排水処理費
- 水質分析や測定にかかる費用
- 充てん材・冷却水配管・熱交換器の洗浄費
- 清掃や不具合対応による設備停止時間と作業負担
- 付着による熱交換効率の低下分の電力
特に見落とされがちなのが電力です。充てん材のスケールやスライムを取り除くと通風抵抗が下がり、冷却能力が上がります。環境省の試算例では、冷却塔清掃により冷却水温度が1℃下がり、熱源機の成績係数が7.3から7.7へ改善した場合、エネルギー消費量とコストがそれぞれ5%減るとされています。清掃を先送りした分は電気代に表れることも、比較に含めておきましょう。
薬品費が下がっても、ブロー量や清掃回数が増えれば年間の運用費は変わらない、あるいは増えることもあります。薬品費単体の前後比較で成果を判定せず、水使用量・作業時間も含めた設備全体のコストで見てください。
薬品コストの削減前に確認したい水質と運転記録
設定を変える前の記録がなければ、変えた後の良し悪しは判断できません。補給水・循環水の水質、薬注量、ブロー量、運転負荷、付着物の状態を一定期間記録し、これを基準値にしましょう。記録が不足している設備は、先に測定期間を設けて基準値をつくってから手をつけてください。
数値だけでなく、充てん材や下部水槽の写真、清掃で回収した付着物、熱交換器の開放点検記録など、現物の記録も残しておくと、薬品使用量だけで設備状態を判断してしまう失敗を防げます。撮影場所と角度を固定しておくと、次回以降も同条件で比較できます。
薬注量・ブロー量・補給水量の把握
薬注量は購入量ではなく、実際に投入した量で確認します。薬注ポンプの設定値と実測の吐出量を照合し、投入量を日次または月次で記録してください。ブロー量・補給水量も同じ期間で記録し、運転時間・生産負荷・外気条件と重ねて見ます。夏季に負荷が上がる設備は前年同時期と比較しましょう。
設定変更後は、薬品量・水量に加えて、電気伝導率・pH・硬度などの水質項目、付着状況、清掃回数も追跡します。削減量を先に決めて逆算するのではなく、一段変えて安定を確認し、また一段変えるという進め方が安全です。
参考:厚生労働省「デジタル技術を活用した建築物環境衛生管理のあり方に関する検討会 中間とりまとめ(案)」(2024年6月)
スケール・腐食・スライム・藻などと衛生管理の切り分け
付着物をまとめて「汚れ」と扱うと対策を誤ります。白色・灰色の硬い付着物はスケールの可能性がありますが、見た目だけでは断定できません。対策費や工法に関わる場面では成分分析を行いましょう。金属の赤さびや減肉は腐食、ぬめりや水槽内の変色は微生物の側から点検します。
薬品コストを見直す際も、スケール対策と衛生管理は別扱いにしてください。水処理を導入する場合も、定期清掃・換水・殺菌・レジオネラ属菌対策は施設に必要な管理として継続します。設定を変える前に「誰が・どの記録を・いつ確認するか」を決めておくと、異常への気づきが遅れません。
薬品コストを削減する方法
削減手段は大きく3つです。
- 薬注設定の調整
- ブロー条件の見直し
- 別の水処理方式との組み合わせ
方式を比較する際は導入費だけでなく、保守費・交換部材・電源・設置工事・導入後の点検費まで年間コストで並べてください。進め方は共通で、現状を記録し、条件を一つだけ変えて、同じ項目を同じ頻度で追うことです。複数条件を同時に変えると、結果が良くても悪くても、何が効いたのか説明できなくなります。
薬注・ブロー条件の見直し
最初に確認するのは次の2点です。
- 薬注ポンプの設定値と実際の吐出量が一致しているか
- 薬剤の濃度・投入頻度が現在の補給水・循環水に合っているか
設備新設時の設定を使い続けている場合は、現在の水質・運転条件に合っているか見直しましょう。ブローは循環水の濃縮を管理するために行うものです。設定値ではなく実測した水質・補給水量を基準にタイミングと量を見直し、設備管理会社や薬剤供給会社と条件を共有しながら一段ずつ進めます。
薬品使用を抑える水処理方式
水処理方式には薬剤注入、ろ過、軟水化、物理的処理などがあります。方式ごとに対象が異なるため、スケール・腐食・微生物のどれを管理したいのかを先に決めてください。対象を決めずに製品を比較すると、必要な管理が抜け落ちます。
方式を決めたら、水質・流量・設置場所・電源の有無・保守方法を比較しましょう。年間コストで見るべきは交換部材・洗浄・電力・点検の4項目です。既存設備への後付けを検討する場合は、設置スペース、施工時の停止時間、バイパス配管の要否も事前に確認してください。
エミールによる薬品・ブロー水負担の見直し
産業用水処理システム「エミール」は、ステンレス本体にモンモリロナイト系セラミックスを半分程度充填し、下から上へ通水する構造です。通水でセラミックスが流動・衝突することで自ら清浄を保ち、交換や洗浄、電源も不要です。
エミールを設置した冷却水系では、濃縮を限界まで高めたうえで結晶をコロイド状のまま成長させない管理に切り替えます。この管理により、濃縮倍率を上げるための薬剤が不要になり、ブロー水も同様に見直せます。
導入実例
新設ラインの密閉式冷却塔:スケール除去剤とブロー水を使わず1年間管理。循環水の水質は悪化していたが設備側にスケール付着はなく、飛散したスケールも脆い状態だった
開放式冷却塔のシェル&チューブ:導入前はスケールの固着が見られたが、設置後半年でスケールが軟化・剥離し、チューブ内の地肌が確認できた
食品工場のプレート式熱交換器:開放のたびに大量のスケールが出ていたが、設置後はほとんど出なくなった
ただし、これらは一律の結果ではありません。水質も運転条件も現場ごとに異なるため、導入判断は自社設備の導入前後の記録で判断します。
開放式・密閉式の設置例と導入後の状態は、クーリングタワーへの効果でご覧いただけます。冷却塔向けの納入先には、スケール付着防止として3台を設置した多摩南部地域病院、スケール付着防止と薬剤費用の削減として5台を設置したデルタ川崎があります。佃島小中学校や米軍基地にも、スケール付着防止・薬品削減を目的としてエミールが設置されています。近い規模や用途の設備をお探しの場合は、産業用「エミール」の導入実績もご覧ください。
クーリングタワーの形式に応じた設置条件
いずれも配管の一部を通すだけで処理でき、循環水の全量を通す必要はありません。水流をそのまま利用するため電源も不要です。
エミールは3mm・6mm・8mmの3種類のセラミックスを組み合わせ、幅広い流量に対応します。機種と設置位置の選定には、流量・配管口径・設置スペース・水の流れる方向・配管図・水系統の情報が必要です。既存設備への取り付けでは、施工中の停止時間と点検用スペースも確認してください。
導入前後で確認する指標と相談事項
導入効果を薬品量だけで判断すると誤りやすいため、ブロー水量・補給水量・清掃回数・付着状況・水質を同じ期間でそろえて比較してください。写真は同じ場所・角度で撮影し、熱交換器を開放する設備では付着物の量と状態を毎回同条件で記録します。
ご相談の際は、可能な範囲で次の資料をご用意ください。
- クーリングタワーの形式、能力、運転時間
- 循環水の流量、配管口径、配管図
- 補給水と循環水の水質データ
- 現在の薬剤名、目的、薬注方法、年間使用量
- ブロー水量、補給水量、清掃・洗浄の履歴
- スケールや付着物、腐食箇所の写真
すべてがそろっていなくても構いません。手元の記録を整理するだけで、不足項目と確認する順番が明確になります。
なお、カチオン化から付着物の軟化・剥離に至る作用原理には推定を含みます。導入を判断する際は、原理よりも設備ごとの記録と実際の変化を優先してください。
現場データをもとに無理のないコスト削減へ
クーリングタワーの薬品コストは、補給水、ブロー水、排水処理、清掃、設備停止にかかる費用と同じ期間で比べます。薬剤ごとの役割を確かめ、殺菌や清掃といった必要な衛生管理は残したうえで、濃縮管理とスケール対策から見直してください。順番を逆にすると、費用は変わらずリスクだけが増えます。
エミールの設置可否や導入前後で比較すべき項目は、現在の設備条件・運転記録をもとにご案内します。薬品使用量やブロー水量の見直しをご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
冷却塔の水質管理を見直すなら「エミール」




